展覧会Exhibitions
侵色 vol.3
2026.07.10 - 2026.07.18
- 開場時間
- 11:00~18:00
- 休場日
- 7/12(日)
- 入場料
- 無料
- 会場
- 京都精華大学ギャラリーTerra-S
- 出品作家
- 木原優大、笹崎凜 、新谷響名、高橋弦希、辻大輝、長野元紀、松本怜果、脇田舜生
- 参加キュレーター
- 酒巻鼓 (担当作家:辻大輝)
- PRコーディネーター
- 城戸愛莉
- 空間設計
- Locator
- 企画
- 磨田花朗
- 主催
- SHINSHOK 実行委員会
- 共催
- BONCO ARTS & CRAFTS
概要
「SHINSHOK」は、展覧会をひとつのメディウムとして捉え、その構造や可能性を継続的に検証していくプロジェクトです。全10回の実践を通して、作品だけではなく、展示形式や空間設計、鑑賞体験そのものを問い直すことを目的としています。
近年、作品発表の機会は増加していますが、「どのように見せるか」という展示設計の検討は、個々の作家や現場に委ねられています。なかでも展示空間を成立させる「展示壁」は、作品を支える背景として扱われることが多く、その構造自体が意識される機会は限られています。
侵色 vol.3では、展示空間の内部にさまざまな展示構造を埋め込むことで、複数の展示形式が同時に存在する空間を構成します。個展形式、インスタレーション、グループ展形式、キュレーションなど複数の形式を同一空間内に並置し、「展示はどのように構成されるのか」という問いを立ち上げます。
本展には、関西を中心に活動する若手作家が参加し、平面、立体、インスタレーション、映像、メディアなど多様な作品が展開されます。それぞれの作品は単独で完結するものではなく、壁面構成や導線、展示形式との関係によって鑑賞体験そのものが変化していきます。
また、展示施工・空間制作を専門に行うBONCO ARTS&CRAFTSとの協働により、空間構築を仮設壁や展示什器の制作・施工を含めた実装レベルで行います。構想に留まらない具体的な展示検証を行うことで、完成された展示のみならず、その形成過程を含めた実践として空間を提示します。
本展を通じて、若手作家や学生に展示設計の視点を提示するとともに、来場者に対しても、作品と空間の関係性を主体的に読み取る契機を創出します。
アーティストプロフィール
木原優大|Kihara Yudai
2002 兵庫県姫路市生まれ
2026 大阪芸術大学芸術学部美術学科卒業
現在 愛知県立芸術大学大学院美術研究科在籍
2026 個展「FOCUS」(京都蔦屋書店6Fアートウォール)
大阪芸術大学卒業選抜展(大阪市立美術館天王寺ギャラリー)
「somewhere in between vol.3」(THE blank GALLERY、東京)
2025 「Hyper Cheap Osaka」(JITSUZAISEI、大阪)
「ディファレント京町堀アートフェア」(安田画廊、大阪)
助成:香雪美術館奨学生、パル井上財団 10周年記念特別奨学金、大阪芸術大学学業優秀者奨学金
私は普段から物や人の存在に対して懐疑的になる時があり、本当にその物は存在するのか、今見えている物は確かなのか、と考えることがあります。何気ない風景は、私が見ることを意識することで初めてこの世に「存在」し、見ることを意識されていない風景は曖昧で、今も変容し続けているような感覚があります。
私はこれらの対象を「線」で捉え、単純化します。本来あるはずのない形や光を「線」で捉えることは、私自身の手で境界を与え、「確かなもの」として存在させようとする行為の痕跡であると考えています。
また、私にとって「描く」という行為そのものが重要です。描くことは、自身の中に対象を取り込み咀嚼し、その時に見た「記憶」を可視化して、その「存在」と繋ぎ合わせる行為であると感じています。

《Multiple lights》
2025
アクリル、キャンバス
笹崎凜|Sasazaki Rin
2001 奈良県生駒市生まれ
2024 京都精華大学芸術学部版画専攻卒業
2026 京都精華大学大学院芸術研究科版画領域修了
2026 「京都精華大学展2026 —卒業・修了発表展—」(京都精華大学)
2025 個展「運転席でハンドルを握る」(氵(さんずい)、京都)
「LITE」(アートゾーン神楽岡、京都)
2024 個展「ユーモア・ビート」(Marco Gallery、大阪)
「KIOSK」(Marco Gallery、大阪)
「A-LAB Artist Gate’24」(A-LAB、兵庫)
「Saturday Night Once More」(WALL_alternative、東京)
「京都精華大学展2024 —卒業・修了発表展—」(京都精華大学)
笹崎凜による表現は、銅版画やモノタイプといった版画表現にはじまり、陶芸や彫刻、漫画、アニメーションなど多岐にわたります。それは日々の暮らしに根ざした表現を求める彼女の姿勢の表れかも知れません。近年ではプレス機に頼らず、自身の身体の重みを介して版画を刷る「ケツプレス・シリーズ」を発表しました。彼女はその時々の生活環境に準え、移ろいながら作品を制作しています。
また、運転席の車窓を流れ行く景色、Googleストリートビューを通して見る田舎の脇道、街中で見かける住人たちなど、彼女の作品に登場するモチーフもその移ろいをはらんでいます。消えゆくもの、あるいは見過ごされがちなものを書き留めるような彼女の作品制作は、生活する上でふと立ち現れる素朴な美しさを肯定する行為と言えます。

《無題》
2026
ドローイング
新谷響名|Shintani Kyona
2000 大阪府生まれ
2026 京都市立芸術大学大学院美術研究科工芸専攻漆工修士課程修了
2026 「2025年度京都市立芸術大学作品展」(京都市立芸術大学)日本漆工協会奨学賞
2025 「乾漆の造形 皮膜と身体 -漆芸と彫刻のインターセクション-」(茨城県つくば美術館)
2024 「#W_INTER 2024 国際的非暴力展」(京都市立芸術大学)
萱原遊・新谷響名 二人展「傷口と手当て」(ノランナラン・Books×Coffee Sol. 2F、京都)
私は、漆を塗る・研ぐ・磨く際の身体感覚や、気触れで生じる皮膚感覚など、漆との関わりのなかで生じる行為や現象について興味を持ちながら制作をしています。また、高校まで9年間フィギュアスケートをしていた経験から、立体造形だけでなく自身の身体を使ったパフォーマンスやダンス、インスタレーションなど、さまざまな表現方法を試みています。

《針と孔》
2026
高橋弦希|Takahashi Genki
2023 京都市立芸術大学美術学部版画専攻卒業
2025 京都市立芸術大学大学院美術研究科版画専攻修了
2026 「Kyoto Art for Tomorrow 2026 —京都府新鋭選抜展—」(京都文化博物館)
2025 個展「Demo」(Print Lab Space、京都)
「デスクライトエリア」(Alternative Space yuge、京都)
「2024年度京都市立芸術大学作品展」(京都市立芸術大学)
2023 個展「砂と水のプラクティス」(ギャラリー・オオアナ、三重)
公的領域の内側にある私的領域と、その近傍について思索しています。近年は主に、スチレンボードで作成した「スペースの模型」の天地を反転させてスキャナーで撮影する写真作品や、カメラやプロジェクターなど光と視界を使ったインスタレーションなどを制作しています。

《ガラスと0mmで接しているタワー(を見上げている)》
2026
インスタレーション
辻大輝|Tsuji Daiki
2001年生まれ 滋賀県大津市出身
2024 京都精華大学芸術学部造形学科映像専攻卒業
2026 京都精華大学大学院芸術研究科映像領域修了
2026 「アウトライン—上野英里×辻大輝」(京都精華大学ギャラリーTerra-S)
「Kyoto Art for Tomorrow 2026 —京都府新鋭選抜展—」(京都文化博物館)
2025 「未来のえいでん アートプロジェクト」(叡山電鉄京都精華大前駅構内、京都)
個展「空の体たち」(hatoba gallery、京都)
2024 「生き続けるもの」(瑞雲庵、京都)
2023 「侵色:開始」(京都精華大学ギャラリーTerra-S)
情報が正しく伝わらないときに浮かび上がるコミュニケーションの困難さや、ズレを通して他者と関わるあり方をテーマに、集団演技的なパフォーマンスとビデオ・インスタレーションを組み合わせた作品を制作しています。

《キョウのお料理 ~じいじのかぼちゃのたいたん編~》
2026
ビデオ・インスタレーション
マルチチャンネル・ビデオ、サウンド、スクリーン、モニター、ケーブル、調理台
長野元紀|Nagano Motoki
2001 岡山県生まれ
2024 京都芸術大学美術工芸学科油画コース卒業
2026 京都市立芸術大学大学院美術研究科版画専攻修了
2025 「LITE」(アートゾーン神楽岡、京都)
「2024年度京都市立芸術大学作品展」(京都市立芸術大学)
2024 「第49回大学版画展」(上田市立美術館、長野)
「第12回PORTO DI STAMPA」(B-gallery、東京)
「2023年度京都芸術大学卒業展」(京都芸術大学)奨励賞受賞
2023 「第48回大学版画展」(上田市立美術館、長野)
私は、形をなぞるという行為を通して、制作における判断や主体のあり方を探っています。
トレースは、対象を再現するための手段であると同時に、意識していることと、意識しきれないズレが同時に現れる行為でもあります。
作品は、既存の形や過去の制作物などを起点に、トレースといった操作を繰り返すことで生成されます。その過程では、作者の意図だけでなく、素材の抵抗や身体的な制約、行為の反復そのものが結果に影響を与えます。
私は、制作の結果よりも、トレースの途中に立ち上がる、不確かな判断の状態に関心を持っています。

《間にだけ私は在る-共生成について》
2026
インスタレーション
撮影:田中茜乃介
松本玲果|Matsumoto Reika
2001 年生まれ 京都府在住
2024 京都精華大学芸術学部造形学科映像コース卒業
2025 「cycle」(京都精華大学ギャラリーTerra-S)
2024 「Axi(s)Rhythm」(オンライン上映会)
「Add_on」(FRAME in VOX、京都)
「ICAF 2025」(国立新美術館、東京)
2023 「侵色:開始」(京都精華大学ギャラリーTerra-S)
実体験をもとに、人の動きを持って婉曲的に表現したアニメーションを制作しています。

《共生/Live with》
2024
アニメーション
脇田舜生|Wakita Shunki
大阪府出身
2026 京都精華大学大学院芸術研究科修了
2025 「未来のえいでん アートプロジェクト」(叡山電鉄鞍馬駅、貴船口駅構内、京都)
2024 個展「monsters」(gallery kumagusuku、京都)
「SHIBUYA STYLE vol. 18」(西武渋谷店 東京)
「2 word 2025」(Marco Gallery、大阪)
2023 個展「どこかでなにかが」(二条カフェさらさ3、京都)
2021 「EPIC PAINTERS vol.8」(THE blank GALLERY、東京)
可視性と不可視性への関心から、視覚で捉えきれない対象を主題として絵画を中心に取り組んでいる。主に妖怪やモンスターなどの超自然的な存在や、ベールに包まれた対象をモチーフとして探究し、視えないことで沸き起こる、可視性を超えた知覚を研究のテーマとしています。

《MONSTERS》
2024
ミクストメディア
企画・運営者プロフィール
酒巻鼓|Sakamaki Tsuzumi
本展参加キュレーター
2002 徳島県生まれ
2025 静岡文化芸術大学文化政策学部芸術文化学科卒業
現在 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科デザイン学専攻在籍
現代美術を中心に、参加型作品の再構成、再展示について研究を行う。
主な展覧会に「第4回対話から始まる展 思考/試行のとおりみち」(共同キュレーター)(静岡、2025)がある。

城戸愛莉|Kido Airi
本展PRコーディネーター
1999 京都府生まれ
2022 京都芸術大学芸術学部アートプロデュース学科卒業
現在 京都のギャラリーにてギャラリー業務を行う
主な展覧会企画
2026 「いつか かっこう の飛んで行ったと思った遠くの そら」(参加作家:三瓶祐治、永沢碧衣、merino)(梅軒画廊、京都)
矢野七鼓 個展「憧憬石」(節華、京都)
2023 「佇む」(参加作家:イセウユ、林惟彰コズモ)(節華、京都)
2022 「京都芸術大学卒業制作展」(優秀賞・オーディエンス賞受賞)

Locator
本展空間設計
2026年設立。身体と現象からなる空間の関係を軸に、知覚から生成される場の共有をめざす。
磨田花朗|Togita Hanao
本展企画者
2001 大阪府生まれ
2024 京都精華大学芸術学部立体造形専攻卒業
2023 「SHINSHOK」を立ち上げる
2024 瑞雲庵における若手創造者支援事業 採択
主な展覧会企画
2025 辻大輝個展「空の体たち」(hatoba gallery、京都)
2024 「ユーモアビート」(Marco Gallery、大阪)
「2 word 2025」(Marco Gallery、大阪)
「生き続けるもの」(瑞雲庵、京都)
2023 「兆し」(京都精華大学ギャラリーTerra-S)
「侵色:開始」(京都精華大学ギャラリーTerra-S)
「侵色vol.2 」(Art Spot Korin、京都)
「FIRST BEAT」(Art Beat Café、大阪)
2022 「既知との遭遇 北浦和也×やんツー」(京都精華大学サテライトスペースDemachi)
展覧会企画を軸に、空間設計、展示構成、施工、運営までを横断しながら、美術表現と場の関係性を探る活動を行っている。
展示を単なる作品発表の場としてではなく、作家、鑑賞者、空間、導線、素材、時間が相互に干渉し合う「現象」として捉え、複数の視点や構造が重なり合う展示体験を重視している。
2024年には、西枝財団が主催する「瑞雲庵における若手創造者支援事業」に史上最年少で採択され、京都・瑞雲庵にて展覧会「生き続けるもの」を企画。建築や素材に宿る時間性に着目し、空間そのものを一つの彫刻的存在として扱う展示構成を行った。
また、若手作家・学生作家を中心とした展覧会プロジェクト「SHINSHOK」を立ち上げ、継続的な展覧会運営とコミュニティ形成を行っている。
現在は、BONCO ARTS&CRAFTSにて、美術展示施工、家具製作、内装、作品インストールなど、実制作を伴う現場経験を基盤に活動。企画と実装を往復しながら、展示空間そのものの可能性を探求している。


