トップページ > 展覧会情報:開催予定の展覧会 > ギャラリーTerra-S前期企画展「スケッチーズ|八瀬の石黒さん家から見た世界」

展覧会Exhibitions

ギャラリーTerra-S前期企画展「スケッチーズ|八瀬の石黒さん家から見た世界」

2025.06.27 - 2025.08.03

開場時間
11:00~18:00
休場日
日曜日(但し、8/3(日)はオープンキャンパスのため開場)
入場料
無料
会場
京都精華大学ギャラリーTerra-S
参加作家
陶芸チーム :木村隆(釉薬研究)、田中大輝(陶芸家)、中村裕太(美術家)|建築チーム:惠谷浩子(風景学)、諏佐遙也(模型製作)、本橋仁(建築史家)|庭景チーム:石川知海(御庭植治)、山本麻紀子(アーティスト)|集古チーム:菊地暁(民俗学)、松元悠(版画家・美術家)、麥生田兵吾(写真家)|玩具チーム:尾崎織女(日本玩具博物館学芸員)、軸原ヨウスケ(デザイナー・玩具工芸社)、長友真昭(玩具作家・玩具工芸社)、山名伸生(玩具蒐集家)
主催
京都精華大学
助成
公益財団法人三菱UFJ信託地域文化財団
協力
射水市新湊博物館、京都市左京区役所八瀬出張所、日本玩具博物館、路上観察学会40周年記念事業「路上観察よ いつまでも」
企画
京都精華大学伝統産業イノベーションセンター、京都精華大学ギャラリーTerra-S
マンガ
谷本研
テキスト
中村裕太
デザイン
仲村健太郎(Studio Kentaro Nakamura)

チラシダウンロード(PDF)

概要

陶芸家 石黒宗麿の家は、八瀬の端っこにある。石黒さんは、よく縁側に腰を下ろし、庭を見ながら思索に耽っていたという。ここからどんな景色を見ていたのだろう。正面には比叡山の山並み、庭では妻のとうさんが菜園をし、犬たちが駆け回っている。季節ごとに梅や桜、柿、椿が色づき、鳥たちがさえずる。麓の街道に目を向けると、大八車を引く人々や柴を担いだ女性たちが行き交う。
石黒さんのスケッチブックには、そんな八瀬の景色が何枚も描かれている。けれど、その膨大なスケッチを見ていると、八瀬という土地の風土や風習を描きながらも、ここではないどこかの景色を描いているようにも思えてくる。というのも、スケッチの多くは景色を写生したものではなく、皿や壺に合わせた図案へと展開されているからだ。石黒さんは、山あいの八瀬での暮らしを描き留めることで、どこでもない世界を描き出そうとしたのかもしれない。
とはいえ、残されたスケッチを眺めているだけでは、どうして石黒さんがそれらの景色を描いたのかが分からない。そこで、学内外の作家や研究者に声を掛け、石黒さんが暮らした「八瀬陶窯」でしばらく時間を過ごすことにした。家屋や庭の掃除をしたり、縁側に座って地元の方から話を聞いていると、ふいにそのスケッチが描かれた背景が見えてくる。そうやって石黒さんとの対話を重ねていると、いま、ここから見える世界を描いてみたくなってきた。本展では、石黒さんのスケッチをはじめ、陶芸・建築・庭景・集古・玩具という5つのチームが描き出したスケッチたちをお見せしていく。

石黒宗麿と八瀬陶窯


石黒宗麿と八瀬陶窯(1956年頃、射水市新湊博物館提供)

石黒宗麿(1893–1968)は、1936年に京都洛北の八瀬で窯を築き、晩年までこの地を拠点に作陶を続けた。中国や朝鮮の古陶磁に肉迫しつつも、独自のエスプリを持った陶芸家として知られ、1955年に鉄釉陶器の技法による重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。1956年には「財団法人八瀬陶窯」を設立し、後進の陶芸家の研究の場となることを望んだ。没後、関係者の管理を経て、2003年から京都精華大学が施設管理を行う。2018年に本学伝統産業イノベーションセンターにて「八瀬陶窯プロジェクト」を発足。2023年には工房のある家屋を修繕し、実地的な石黒宗麿の研究拠点として運用している。

八瀬の石黒さん家から見た相関図

石黒さんのスケッチを手がかりとした5つのチームの制作や研究は、ゆるやかに影響し合いながらひとつの相関図を描き出した。
*石黒宗麿のスケッチブック(全て射水市新湊博物館蔵)は、各チームの作品とともに展示されます。

関連イベント

オープニングトーク
日時:6月27日(金)18:30–19:30
会場:京都精華大学ギャラリーTerra-S
*申込み不要・無料

なかよしトーク|ビヨンド・ザ・『アウト・オブ・民藝』
ひとびとが日々の暮らしの中から作り上げた民具・民藝・郷土玩具といったモノをめぐって、アートとガクモンのアプローチには、どのような違いがあり、どのような分担や協力が可能なのか?
軸原ヨウスケと中村裕太によるリサーチプロジェクト『アウト・オブ・民藝』から今回の「スケッチーズ」に至る経緯を紹介し、アートとガクモンの理想的距離感を考えます。

日時:7月11日(金)19:00–(18:30開場)
会場:京都精華大学明窓館4F
登壇:軸原ヨウスケ+中村裕太
コメンテーター:角南聡一郎(神奈川大学)
司会:菊地暁
定員:60名
共同主催:京都民俗学会
*申込み不要・無料


手仕事の学校1|八瀬の民俗・民家・風景・路上観察

民家や風景、路上から八瀬をみつめるトーク&ワークショップ。民家にみる習慣とものづくり文化や、景観にみる地域の風土についてお話します。
またゲストに林丈二氏をお迎えし、一緒に八瀬を歩くことで、路上に隠れたものの面白さを探っていきます

日時:7月12日(土)13:00–17:00
会場:八瀬陶窯
定員:20名
*要申込み・先着順・無料

トーク1「八瀬の民俗と民家(今和次郎、西山夘三、路上観察、瀝青会)」菊地暁(1時間)
トーク2「八瀬陶窯と八瀬の景観」惠谷浩子(1時間)
ワークショップ「八瀬の路上観察」林丈二(路上観察学会、イラストレーター、エッセイスト)(2時間)
ファシリテーター:本橋仁

>>>申込みフォーム:手仕事の学校1
https://forms.gle/RuALYieeL7QoXGtY9


手仕事の学校2|八瀬陶窯の庭・玩具のデザイン

トーク1では、八瀬陶窯の庭の植生を観察し、庭に向けられた石黒さんのまなざしを探ります。トーク2では、かつて八瀬周辺で作られていた麦藁人形や、土人形の源流である伏見人形のデザインについてお話します。ワークショップでは、麦藁と和紙を用いて八瀬の麦藁人形を作ります。

日時:7月13日(日)13:00–17:00
会場:八瀬陶窯
定員:20名
*要申込み・先着順・無料

トーク1「石黒さんのスケッチと庭」山本麻紀子+石川知海(1時間)
トーク2「玩具工芸とデザイン(八瀬の麦藁人形・伏見人形)」軸原ヨウスケ+長友真昭(1時間)
ワークショップ「八瀬の麦藁人形を作る」尾崎織女  (2時間)
ファシリテーター:米原有二

>>>申込みフォーム:手仕事の学校2
https://forms.gle/Nv2Vpbym7tmNcD5K6


ギャラリートーク

日時:7月26日(土)14:00–14:30
会場:京都精華大学ギャラリーTerra-S
*申込み不要・無料

企画・運営

企画担当:伝統産業イノベーションセンター(中村裕太(本学芸術学部教員)、小出麻代)、ギャラリーTerra-S(齋藤雅宏)
運営担当:伝統産業イノベーションセンター(米原有二(本学人文学部教員)、フォック・チン)、ギャラリーTerra-S(伊藤まゆみ)