展覧会Exhibitions

侵色:開始

2023.04.20 - 2023.04.28

開場時間
11:00~18:00
料金
無料
会場
京都精華大学ギャラリーTerra-S
主催
侵色

概要

類似色、補色、暖色、寒色。

色相環には様々な関係性が存在している。互いを引き立て合い、時にはぶつかり合う。主人公になったかと思えば、脇役としてサポートに回り、はたまた隣同士で結託して輝くこともある。その作品は何色だろうか。様々な作品を一つの空間に展示することは、紙が色で埋め尽くされていく様に似ている。隣同士はぶつかり合わないか。逆にどちらも目立たなくなっていないか。そうして出来上がる展覧会は一つの「絵」となっていく。

今回の「侵色:開始」では、平面、立体、映像など、多岐にわたるメディアを駆使する京都精華大学 芸術学部所属9名の作家たちが選んだ「色」を色相環に当てはめ、作品の背景や作品同士の関係性を想起できるように構成した。各作家が生み出す作品は、当然、全て同系色ではない。規則性があるわけでもない。個性豊かなそれぞれの「色」と共に、それらの「関係性」にも注目していただきたい。色がそうであるように、作品も他の作品に呼応して我々に様々な一面をみせてくれるのだから。

Terra-Sの空間を侵食していく彼らの「色」と、それらが織り成す「関係性」を感じながら、本展をお楽しみいただけたらと思う。

企画 磨田 花朗

アーティストプロフィール

大野 真奈 |Oono Mana|映像専攻
滋賀県彦根市出身。
パペットなどを用いたコマ撮りアニメーションや、ドローイングアニメーションを主に制作している。構想から絵コンテ、ミニチュアセットの制作、編集など、一つの作品に対する様々な作業を一貫して一人で行う中、作品が鑑賞者に対してどのような印象を与えるかに着目し制作する。本展では、記憶や懐かしさ、曖昧さなどもコンセプトの日々作品制作と向き合う。

大野 真奈《JAMSABLE》2021

完山 花 |Kanyama Hana|映像専攻
京都府向日市出身。
幼少期からインターネットに触れ、動画配信サイトを通じてMAD ムービーやテレビCM、またフラッシュゲームの視覚効果にインスピレーションを受ける。主にモーショングラフィックスを用いて、架空の商品を紹介するテレビショッピングや存在しないゲームのトレーラー映像を制作するが、本展では彼女が普段作る映像作品とは対照的なアプローチでインスタレーション作品を展開する。

完山 花《花グループ「エイリアンライターケースとエイリアンアナルお香立て」CM》2022

笹崎 凜|Sasazaki Rin|版画専攻
奈良県生駒市生まれ。
銅版画やモノタイプ、写真、アニメーションや立体作品など多様なメディアを用いる。住む場所を転々としてきた彼女は、定住地がなく、制作においても一つの技法に留まらない。蛾が光に魅せられ飛んでいき、身を焼いてしまう姿に自身が抱えている不在感、眩しいものに惹かれる姿を重ねて作品を制作している。

笹崎 凜《無題》2023

武田 虹羽|Takeda Nijiha|立体造形専攻
京都府京都市出身。
主にガラス、アクリル絵具を扱い作品を制作している。アートセラピーに関心を抱く彼女は、人との精神的な繋がりを大切にしている。他者の煩いを繊細に感じとり、それを第三者の視点から作品に落とし込んでいくことで、感情や想いなどの目に見えないものを可視化し表現する。身を焼いてしまう姿に自身が抱えている不在感、眩しいものに惹かれる姿を重ねて作品を制作している。

武田 虹羽《waver》2023

辻 大輝| Tsuji Daiki|映像専攻
滋賀県大津市出身。
作品の制作手段としてデジタル技術を利用しながらも、この世の不確実性や無常をモチーフに映像インスタレーション作品を制作する。本展では「我々は自らの身体を所有している」という意識への疑いに、自らの身体を使って向き合った。

辻 大輝《marks》2022

ト シャノン カヤ|Do Shannon Kaya|テキスタイル専攻
カリフォルニア州 ロサンゼルス出身。
韓国にルーツを持ちながらも、アメリカで生まれ育った彼女は、自身のルーツを土台として、地元サウスパサディナの人々との経験や思い出を作品に投影する。「無心で織っている間は嫌なことを忘れハッピーになれる」ことから、とにかく楽しむことをモットーにしている。多種多様な色やテクスチャーを持つ素材が織り成すイメージに惹かれ、織り・縫い・編みをメインに制作している。

ト シャノン カヤ《Home: One》2023

松本 玲果|Matsumoto Reika|映像専攻
埼玉県和光市出身。
アナログとデジタルを融合した作画方法や、ストップモーション、ロトスコープなどの幅広い技法を用いてアニメーション作品を制作する。社会問題と、自身の体験や心情を結びつけ、人の身体的な動きを以って婉曲的に表現している。また、動物たちが私たち人間と親しみのある動作をしていることに癒しを感じ、動きの間に重きを置く

松本 玲果《ふあんとわたしと》2023

森本 菜南|Morimoto Nana|陶芸専攻
大阪府富田林市出身。
「なに不自由なく一生を終える不自由」を主なテーマとし、飼育される動物たちをモチーフにしている。緊張感のない世界で私たち人間に背を向けている動物の姿に、どこか憎めない愛らしさを感じ、陶磁器を用いて作品を制作する。

森本菜南《想像の創象》2023

山﨑 佑介|Yamazaki Yusuke|洋画専攻
大阪府枚方市出身。
警察や軍隊などの組織の制服を着用する人々が主なモチーフ。彼等は正義を司る存在だが、それと共に脅威も潜めている。故に信頼の対象にもなる一方、恐怖の対象にもなり得る。この観念からなる、人々の彼等に対する認識の食違いへの関心を基に、絵画・立体を中心とした作品を制作している。

山﨑 佑介《正義の味方#3》2022

磨田 花朗|Togita Hanao|立体造形専攻(本展企画者)
大阪府大阪市出身
面白そう、見てみたいのその先を生み出すキュレーターを目指して活動。そして自身を「一番キュレーションしたいアーティスト」として作品も制作している。3~4メートルの丸太や竹を吊り上げ、絵を描かせるなど、自然を人為的に操作して生み出す「B級自然ものまね」をシンプルかつダイナミックなモチーフで表現。アートの表現の面白さはどこにあるのかを日々探究しながら、キュレーター、アーティストとして活動を続けている。

 

ギャラリーツアー

出展作家それぞれの制作スタイルを3つのグループに分類し、各グループでギャラリーツアーを開催いたします。作品を前に、作家本人が作品のコンセプトや制作の背景などをお話します。

日時:4月23日(日)
12:00-13:00「ディティールにこだわる」
参加作家: ト シャノン カヤ、磨田花朗、森本菜南、山﨑佑介
14:00-15:00「世界観にとりこむ」
参加作家: 完山花、笹崎凜、磨田花朗、松本玲果
16:00-17:00「空間をつくる」
参加作家: 大野真奈、武田虹羽、辻大輝、磨田花朗