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展覧会Exhibitions

旅するテキスタイル Eight Sceneries

2025.06.06 - 2025.06.14

開場時間
11:00~18:00
休場日
なし ※6/8(日)はオープンキャンパスのため開場
入場料
無料
会場
京都精華大学ギャラリーTerra-S
出品作家
熱田聖子、岩井まどか、鈴木大晴、府玻杏、細田あずみ、宮城美穂子、メリンダ・ヒール、渡邉操
主催
旅するテキスタイル実行委員会

概要

テキスタイル・染織は、長い歴史の中で多くの技法が生まれ継承されてきました。特に日本では気候や文化に培われた世界でも比類のない独自の染織技法が展開され、今なお新しい染織の世界が創造されています。
本展は、京都精華大学テキスタイルで多彩な伝統技法を学び、自身の世界を開拓してきた8人がEight Sceneriesと題して、それぞれの世界観で独自の風景や物語を表現します。作品世界を「旅」するように回遊し、視覚だけでなく触覚や没入感覚でも、作品の空気と温度に触れることができます。
植物染料で伝統工芸を新たな表現に昇華させたもの、繊維素材による造形で現代美術の領域に進出したものまで、「テキスタイル—染織」のもつ革新的魅力と可能性を感じていただける作品展です。

アーティストプロフィール

熱田聖子|Seiko Atsuta Purdue
1986年大阪府生まれ。手漉き紙に布の形や質感を鋳造するファイバーアートを中心に制作を行うアーティスト。1997年にシカゴ美術館附属美術大学(School of the Art Institute of Chicago)ファイバー学部大学院修了(修士・MFA)。現在は、西ワシントン州立大学美術学部教授として教育にも携わっている。2013年「Warp and Weft: The Northwest and Japan」(サンファンアイランド美術館、ワシントン州)、2021年「真昼とクラスタ―」(ギャラリーギャラリー/京都)など、国内外で個展を開催。2023年には、「Katazome Today: Migration of a Japanese Art」のキュレーターを務め、ワシントン州ワットカム美術館およびアイダホ州ボイジー美術館にて展覧会および関連イベントを企画する。

《草原》2021

 

岩井まどか|Iwai Madoka
1997年三重県生まれ。地元三重の海の景色を主題に、反射する水面の揺らめきを丹念に型紙に彫り込む型染めの技法によって、繊細な風景表現を追求している。現在、西田染工株式会社に在職し、染色の現場に携わりながら創作活動を続けている。2022年には第72回みえ県展工芸部門にて最優秀賞を受賞。2023年には京都府のギャラリーマロニエにて個展「始まりの場所」を開催し、海と記憶をめぐる作品群を発表した。

《月日は廻る》2021

 

鈴木大晴|Suzuki Daisei
1998年京都府生まれ。数百色に及ぶ糸を絵具のように選び、筆で色を塗るような感覚で織り上げることで、独自の絵画的表現を展開する織作家である。2021年、京都精華大学卒業・修了発表展にて学長賞を受賞。
2022年には国立新美術館(東京)にて開催された「Idemitsu Art Award」に出品。2024年1月にはラオス・Phaeng Mai Galleryにて「Multi play」展に参加。同年10月には、京都国際舞台芸術祭「Kyoto Experiment 2024」のプログラム「CHASHITSU」に出演し、織の新たな表現領域を提示した。

《The falling rain in the city》2024

 

府玻杏|Fuwa Anzu
金沢を拠点に表現と技を磨きながら、石川県輪島の復興にも尽力する染色作家である。「字」をモチーフとし、蠟纈染を用いた細密な染色画を制作している。2021年、金沢卯辰山工芸工房を修了。現在は、金沢湯涌創作の森・藍工房および染織工房にて非常勤として勤務しながら創作を続けている。2020年には台湾・The Place Taipeiで開催された「WHAAAAAT’S STUDIO OPENING」に参加。2024年、銀座の金沢にて開催された金沢卯辰山工芸工房のオープニング企画展「表現と技」に出品。同年、第2回EGK工芸アワードにて北國新聞社長賞を受賞。
2025年には、第81回現代美術展(石川)にて優秀賞および北國新聞社社長賞を受賞した。

《紅紫昏》2025

 

細田あずみ|Hosoda Azumi
1974年兵庫県生まれ。表情豊かなモチーフや柔らかなぼかし染め、繊細な布の質感を生かした蠟纈染によって、着物やテキスタイル作品を展開。2007年、京都市立芸術大学大学院美術研究科博士後期課程(染織)を修了し、博士(芸術)を取得。現在は、京都精華大学芸術学部造形学科テキスタイル、および京都市立芸術大学工芸科(染織)にて非常勤講師を務めている。2016年には、シアトル・アジアン・アート・ミュージアムにて「Azumi Hosoda wax resist dyeing」と題したArt Spot SAAM講演を行い、2024年には京都劇場にて開催された「ファッションカンタータ from Kyoto」に参加するなど、国内外で活動する。

《日除け厄除け傘》2019–2025

 

宮城美穂子|Miyagi Mihoko
1978年新潟県生まれ。素材選びから糸の染色に至るまで、すべてに自然由来のものを用いることにこだわり、伝統と美意識が息づく刺繍表現を追求している。2002年、京都精華大学芸術研究科博士前期課程染織専攻修了(修士)。同年より2023年まで、天然染色の第一人者として知られる「染司よしおか」に入門し、研鑽を積む。
また、2009年から2023年にかけては「京縫すぎした」において日本刺繍の技術を学び、技術と感性を深めた。
現在は、天然素材と天然染料のみを用いて日本刺繍の作品を制作する作家として活動している。

《想送》2019

 

メリンダ・ヒール|Melinda Heal
1986年オーストラリア生まれ。キャンベラを拠点に、オーストラリアと日本の異なる文化的背景を融合させた糊染による作品を制作している。2011年から2015年にかけて文部科学省国費留学生として京都精華大学に在籍し、2015年に同大学芸術研究科博士前期課程染織専攻を修了、修士号を取得。2018年には招待作家として「NAGAIR 中条アーティスト・イン・レジデンス」に参加し、長野県長野市中条地区に10週間滞在。2023年には、「Katazome Today: Migrations of a Japanese Art」巡回展(ワシントン州ワットカム美術館、アイダホ州ボイジー美術館)に出品。現在はオーストラリアにアトリエを構え、国内外で作家活動を展開している。

《Complex edges – the Murumbidgee River》2022

 

渡邉操|Watanabe Misao
1978年京都府生まれ。さまざまな風景や心象を織り交ぜ、雄渾かつ繊細な独自の表現を展開する綴織作家。2020年、神戸芸術工科大学大学院芸術工学研究科総合アート&デザイン専攻修士課程を修了し、修士(芸術工学)を取得。現在は、岡山県立大学デザイン学部工芸工業デザイン学科にて准教授を務めている。
2024年には、西脇市岡之山美術館(兵庫県)にて個展「渡邉操 ― 光×アート×織×デザイン×風景」を開催し、織による空間表現の新たな可能性を提示した。

《シロツメクサ》2024