展覧会Exhibitions
LOOPEND
2020.11.12 - 2020.11.21
- 開場時間
- 10:00~18:00
- 休館日
- 11月15日(日)
- 入館料
- 無料
- 会場
- 京都精華大学 本館ギャラリー
- 主催
- 酒井建治
概要
本展覧会は浅井千春、井阪郁、クニモチユリ、清水佑季、酒井建治、高橋翔平、陸瑋妮の7名による展覧会である。
参加者の大半が現在京都に拠点を置いて活動を行っているが、中には関東と関西を行き来しながら発表を続けるフレキシブルな作家も参加している。普段の活動圏が異なる作家が一堂に会する本展は、参加作家にとって単なる発表の場だけではなく互いに刺激し高めあえるような機会となることだろう。
本展には当初予定されていた会期が新型コロナウイルスによる感染症拡大防止対策によって延期となり、今回やっと開催の見通しが立った経緯がある。急変した社会状況の中、自身と作品、社会的背景を繋げて考えた時、7名の間では「反復」というキーワードが浮かび上がってきた。
哲学的な観点では「反復」と「追憶」は等しい概念だとされている。「追憶」は現在から過去へ過ぎ去った事象へ思いを馳せるという意味で「反復」は未来の方向へ追憶するという意味があるが、どちらも共通して物事を繰り返す過程で未来を見据えるというニュアンスが込められている。
密接に関わっていた作者と作品の関係は、完成によってその距離感が変化する。思考と共に手を動かし続けたものを完成とみなした瞬間、それらが自らの行動の履歴としてせき止められるのだ。不安定な環境であるからこそ、そのような思考の編み上げと玉止めの反復である作品制作は、作り手のあるべき立ち位置を示唆し、各自が目指すべき方角を指し示す方位磁針として客観的にこれからを見据えていくための役割を果たしていくはずである。
余儀なく発表の機会が延期・消失されるような状況の中で制作の際に繰り返される手つきや工程は、イレギュラーな事態に遭遇し乱れてしまった各自の心情的な動きや作品に及ぼす変化をニュートラルな状態に整え、制作にまつわるモチベーションを維持する存在として機能している。絵画、版画、彫刻、テキスタイルなど多様なジャンルの作家から構成された本展では、描画や刷り、染めといった様々な技法でイメージを定着させていく中で発生する差異が確認されるだろう。「反復」がどのような形で作品に現れ、影響を及ぼしているのか?その表われを実際の作品群や会場構成から発見いただきたい。
出品作家
酒井建治(版画)
武蔵野美術大学院版画コース所属。今年東京に拠点を移し、活動を行っている。主に写真やドローイングをシルクスクリーン技法を用いて、再構築した作品を制作している。
井阪郁(テキスタイル)
京都精華大学大学院芸術研究科前期博士課程染色領域在学。主にシルクスクリーンと縫いによる表現を用いた作品を制作。日々の生活で受けるインスピレーションをもとに自身の感情をコラージュのように扱い制作に取り組んでいる。
クニモチユリ(彫刻)
京都市立芸術大学美術研究科修士課程彫刻専攻在籍。モチーフを様々な媒体へ変換・再構成する過程で生まれるイメージの変容について取り扱った作品を制作。
浅井千春(テキスタイル)
京都精華大学大学院芸術研究科前期博士課程染色領域在学。シルクスクリーン技法による女性を象徴するモチーフを取り扱った作品を制作。
清水佑季(テキスタイル)
京都精華大学芸術研究科染色領域在籍。臈纈染、型染めの技法で自らの心象風景を表現した作品を制作。
高橋翔平(日本画)
京都精華大学大学院前期博士号課程芸術研究科日本画領域在学。植物から感じられる自然の生命力やエネルギーをテーマにした絵画作品を制作。
陸瑋妮(版画)
京都市立芸術大学院絵画科版画専攻卒業。シルクスクリーンの版を通して間接的なドローイングを行う。コンピュータの中にある特殊な質感に着目し、タブレットや手描きを組み合わせて制作している。「描く」という作業を通して、消された部分と残りの部分を意識しながら、より複雑な層を一面に刷りあげる。