トップページ > 展覧会情報:過去の展覧会 > ジョゼフ・コーネル展 -箱と映画-

展覧会Exhibitions

ジョゼフ・コーネル展 -箱と映画-

2001.11.27 - 2001.12.20

開場時間
10:30〜18:30
休館日
会期中無休
入場
無料
会場
京都精華大学ギャラリーフロール
主催
京都精華大学
協力
横田茂ギャラリー
企画
小林昌夫(京都精華大学ギャラリーフロール学芸員)
映画上映時間
会期中毎日12:30~13:50、15:00~16:20の
2回上映 9作品(計77分)

概要

現代美術で最も魅惑的で謎にみちたアメリカのアーティスト、ジョゼフ・コーネル(1903-1972)は、生涯「箱」とコラージュの作品を作り続けましたが、一方で映画の魅力にとりつかれ、約30作品の映画を制作しました。
近年、箱の作品と同様に映画作品への関心が高まっています。
本展は、箱、コラージュ、映画を展示・上映し、コーネルの芸術を総合的に紹介するものです。

出品作品

箱:3点(1F展示室)
コラージュ:2点(1F展示室)
映画:9作品(2F展示室)
その他資料

作品紹介

無題(赤ちゃん:小部屋に並んだ祈る子供[ムーランの画家])
1950年代末
滋賀県立近代美術館蔵

 

小部屋(コンパートメント)タイプの「ルネサンス・ボックス」。ムーランの画家は15世紀後半に活躍した姓名不詳のフランス画家。その作品《祈る子供》はコーネルお気に入りの作品の一つであり、彼はボックス以外にも、いくつかのコラージュにこの絵の複製やこれをあしらったフランスの切手を貼り付けている。
全体は黒い仕切り板で36の小部屋に分割されている。それぞれの区画には、ムーランの画家の絵《祈る子供》(パリ、ルーブル美術館)の小さな複製写真が貼られ、黄色の小球が置かれている。裏面にはラテン語の書物2ページ貼付。

 

ロマンティック・バレエ讃
(フィロクセーヌ・ボワイエ、テオフィル・ゴーティエ、ファニー・テリートに)
Homege to the Romantic Ballet
(Pour Philoxene boyer/theophile Gautier/Fanny Cerrito)
1958~62年頃制作
個人蔵

 

無題(蜂蜜)
Untitled(L’Abeille)
1965~66年制作
個人蔵

 

Rose Hobart
1936年
京都精華大学蔵

 

コーネルは生涯に約30作の映画作品を作ったが、そのうちの約半数は、自らが所有する映画をコーネルが思いのままに、コラージュしたもので、他の作品は1950年代以降コーネル自身が監督・編集したものである。

「Rose Hobart」(ローズ・ホーバート)1931年制作のユニヴァーサル映画「ボルネオの東」(ジョージ・メルフォード監督)の数カットをコラージュした作品で、ローズ・ホーバートは主役リンダを演じる女優の名である。この映画はリンダがインドネシアにわたり宮廷の医師になっている夫を探しに当地に赴き、ジャングルのなかで冒険を重ねるといったストーリーであるが、コーネルはこのストーリーを全く無視して、彼にとって魅力のあるカットを用いているにすぎない。彼はこの映画ではなく女優ローズ・ホーバートに魅せられ、彼女に視線を注いでいる。コーネルにコラージュ映画においては、元の映画は独自の映像世界を作り出すための素材でしかなく、そこに見出された美は、コーネルにとっての美に置きかえられるのである。