展覧会Exhibitions

Nymph/ニンフ

2021.07.29 - 2021.08.08

開場時間
12:00~19:00
休場日
8/1(日)、8/2(月)
入場料
無料
会場
京都精華大学サテライトスペースDemachi
主催
包 雯蕊、付 麗婭、奥山 紗代子

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概要

記録手段としての映像、あるいは写真。それらの記録媒体は、外部世界を撮影したものであっても、ある程度は、自分自身の内面が投影されている。

映像や写真におけるイメージは、一目瞭然であり、かくも気まぐれで、魅力的なのであろうか。我々は観ることによってイメージを作りあげる。私たちは何度も何度もイメージと交わる。ニンフ(Nymph)はまさにそのメタファーである。

「ニンフとは、古代ギリシャや北欧の神話に登場する妖精のことで、神ではなく、不老不死でもない。 Nymphはイメージのメタファーであり、真に生き生きとした生命と死んだものとの間の境界線上にある存在である。哲学者ジョルジョ・アガンベンは、図像研究の系譜をたどることで、私たちの過去の記憶がイメージに封印されていること、そしてイメージとの結合(ニンフ)においてのみ、私たちは記憶や過去へのアクセスの可能性を開いていくことができることを、示唆している。」

目を支点として、「観る」という行為は、外部世界の認識を自分の内部に吸収する。我々の中には、広大なイメージの世界があると言える。

それはいったい何であろうか? 記憶、経験、情緒 ……いったん私たちの人生に入ってくると、私たちと一緒に成長し、変化していくもの、それらがニンフであると考えられる。

※引用文献:吉奥乔・阿甘本(Giorgio Agamben)『宁芙』重庆大学出版社,2016.[中国語]

作家プロフィール

包 雯蕊 BAO Wenrui
1993年生まれ。中国浙江省出身。2016年、中国美術学院大学デザイン学科テキスタイルデザインコースを卒業。2021年、京都精華大学芸術研究科博士前期課程芸術専攻版画領域在籍。
主な展覧会に、2021年、京都精華大学大学院1年生研究制作展(瑞雲庵・京都)、京都精華大学大学院芸術研究科芸術専攻版画領域有志展「work in progress 2021 循環-LOOP」(Gallery Heptagon・京都)、2020年、「第45回全国大学版画展」 (町田市国際版画美術館/東京)、2019年、「101106」(TAP ギャラリー/東京)、2017年「国際パターン展」(中国美術学院大学/杭州)、2016年「中国美術学院大学卒業展」(中国美術学院大学/杭州)等。

《残像 —「時間を与える」シリーズより—》 サイズ可変 シルクスクリーン 2020年

写真におけるイメージの在り方は、視覚効果を変容させる。サーマルプリンターを用いて写真を感熱紙にプリントすると、この技法の特性により、プリントされたイメージは時間の経過と共に色褪せていく。イメージが色褪せると共に、被写体と撮影者の関係性も変化する。この体験は、自身の経験や記憶を呼び起こす。
時間は写真を様々な奇妙で疎外された境地に連れて行き、急速に凍結させる。視線の先の記憶はゆっくりと解凍され、回顧的な記憶写真のイメージは時間の外側で、独自の野生とメランコリーを含んだ写真イメージを思い出させ、記憶の奥底から様々なメッセージが浮かび上がる。

 

付 麗婭 Freya
1996年生まれ。中国四川省出身。2018年、四川大学錦城学院を卒業。京都精華大学大学院デザイン研究科デザイン専攻デザイン理論領域修士課程在籍。
2021年、京都精華大学大学院1年生研究制作展(瑞雲庵・京都)に出品。

《ひかり》42.0×59.4cm ピグメントプリント2021年

生活の中で煌めくひかり。ひとりでいる時、ひかりを捉えたいと願う。近くにあるのに手が届かない。

 

奥山 紗代子 OKUYAMA Sayoko
1998年生まれ。大阪府出身。2020年、京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コースを卒業。京都精華大学大学院芸術研究科芸術専攻版画領域博士前期課程在籍。
2019年、京都精華大学対峰館(京都)にて初個展を開催。
主なグループ展に、2019年、交差点(京都精華大学kara-S・京都)。2020年、kino print 2020(ギャラリーヒルゲート・京都)、トゥールビヨン18(Oギャラリーeyes・大阪)。2021年、京都精華大学大学院1年生研究制作展(瑞雲庵・京都)、京都精華大学大学院芸術研究科芸術専攻版画領域有志展「work in progress 2021 循環-LOOP」(Gallery Heptagon・京都)、アナタと私のねじれた世界(Oギャラリーeyes・大阪)等。

《in the mirror》72.8×51.5cm 半光沢紙にピグメントプリント 2021年

セルフ・ポートレイト作品を中心に、自身や自身の心象をモチーフとする写真・映像作品を制作している。
実在する現実の「わたし」と、イメージとなった「わたし」との境界やその揺らぎに触れるために、「わたし」は「わたし」にカメラを向ける。